インターネットFAXは電子取引に該当する?電子帳簿保存法とあわせて解説
電子帳簿保存法について
2023年より電子帳簿保存法が全面適用されるようになります。この変更によって、電子取引を行っている企業については、契約書などの取引書類や請求書、領収書といった普段よくやり取りする書類も電子的に保存しておく必要が生じます。紙の書類で保存するのではなく、PDFなどの形式でデータ保存をしておかないと、適切な会計・税務処理とは見なされなくなってしまうのです。この変更は企業だけでなく個人事業者にも適用され、適用していないと事業形態に応じたペナルティーを受けることがあります。
ここでのポイントは、メールやWEB上で受け取ったPDFデータなどの電子的な文書はそのまま保存することになるという点です。もし、紙ベースで書類を受け取った場合は、スキャンしてPDF化するか、写真撮影をしてデータとして保管することもできます。こうして電子データとして保管した場合、紙の書類は破棄することができます。こうした変更はすべての企業に及び、保管方法の変更やデジタル化などの調整が求められますので、正確に変更点を理解して調整していく必要があります。
インターネットFAXは電子取引と見なされるのか?
電子帳簿保存法では電子取引をしたもの、つまり紙ベースでのやり取りがなく、請求書や領収書などをデータで受け取った場合は、そのデータを適切に保存すれば良いとなっています。ここで浮かんでくる疑問は、インターネットFAXは電子取引に当たるのかという点です。FAX送信側は紙ベースで送ってきたかもしれませんが、受信側は印刷することなくPDFやGIFなどの画像データで受け取ることになります。メールなどのように、送信側も受信側もデータでやり取りしたというのであれば、確実に電子取引と分かりますが、片側だけ電子的な受信となっている場合にはどうなのかと迷ってしまうかもしれません。
この点で、国税庁は明確に回答を出しています。それによると、データ保存しておける文書の種類として、メールやホームページ上からのダウンロードしたドキュメントと共に、ペーパーレス化されたFAXで受け取った文書も含めています。つまり、相手がどうであろうと、インターネットFAXを使ってデータで受け取っているのであれば、電子保存ができるということなのです。また、そもそも電子帳簿保存法によれば、紙ベースで受け取ったとしても、スキャンしてPDF化すれば電子的に保存しても良いというルールです。そのため、どんなケースであれ問題なくFAXをデータ保存しておけるわけです。さらに、データ保存する場合は、紙ベースの書類は不要となりますので、インターネットFAXでPDF化されたデータを受領した場合は印刷する必要もありません。
ただし、電子帳簿保存法によると、単にFAXのデータを保存すれば良いということではないので注意が必要です。というのも、電子データはパソコンなどで簡単に訂正したり、削除したりすることが可能だからです。そこで、所定の条件を満たした外部システムを使って、データにタイムスタンプを押すよう求めています。もしくは、法令で定められている条件で事務処理をしなくてはなりません。タイムスタンプは、その時点から書類を訂正したり削除したりすると履歴として残るシステムとなっています。こうして不正を防止できるのです。
法改正に対応するためにもインターネットFAX導入を
電子帳簿保存法の改正は、すべての企業にとって大きな調整を求めるものとなります。インターネットFAXで受け取った書類については、電子データでの保存が可能となります。ペーパーレス化を進めると共に、法改正に役立つシステムですので積極的に導入しましょう。